2008年5月23日金曜日

繁殖と避妊について

    繁殖をするには?
 オスは生後11ヶ月を過ぎると性的に成熟し、いつでも
交尾可能となります。一方メスはオスよりも少し早く、生
後8~10ヶ月ごろ性的に成熟し、初めての発情を迎えま
す.メスは発情期に入ると外陰部からの出血や外陰部の
腫れなどいろいろな症状があらわれます。
 外陰部からの出血が終了するころになるとメスの体内
では排卵が起こり、妊娠が可能になります。
 この発情期は初回以降、およそ6ヶ月周期でくり返され
ますが、メスはオスと異なり、この発情期以外にはオスを
寄せ付けないので、もし愛犬に子どもを産ませようとする
場合は、この時期にオスと交配することになります。ただ
し、初回では、犬自信が精神的にも骨格的にもまだ未熟
なので、初めての交配は2回目の発情期まで待ったほう
がよいでしょう。

    パートナー探しと交配
 交配の申し込みはメスのほうからします。パートナーを
探す方法としては、犬を購入したブリーダーやペットショ
ップ、かかりつけの動物病院、犬種団体、専門情報誌な
どを通じて紹介してもらうといったことが考えられます。
 オスを選ぶ際は遺伝的疾患の有無や被毛の色、容姿、
性格などが基準となりますが、これらは遺伝も関係して
くるので交配相手の血統書を参考にするといいでしょう。
ただし、オスの素質や血統により交配料は数万~数十
万円と異なってきます。交配相手が決まったら、交配料
のほか日時、回数、妊娠しなかった場合の再交配につ
いても事前に確認しておきましょう。
 日時が決まったら当日までに予防接種や寄生虫の駆
除を済ませ、交尾がしやすいように外陰部周辺の毛をカ
ットしておきます。
 当日は排尿を済ませオスの家へ連れて行きます。交
配は10~30分ほどで済みますがその手順はオスの飼
い主に任せるのがマナーです。交配が成功したら、子
犬の血統書作成に必要になるので、オス側から交配証
明書をもらいます。交配するときの注意
● プードルには3種類のサイズがありますが、トイプード
 ルの特徴をいかすためには、トイ同士が原則です。
● 同じ毛色同士で交配したほうが、単色になる確率が
 高く、安心です。

    妊娠、出産
 犬の場合、交配してから、受精卵が子宮に着床し、
妊娠が成立するまでにおよそ18~21日かかります。
そのころ犬によっては食欲不振や嘔吐などのつわり
症状を起こす場合もあります。不安定な時期なので
無理な運動やシャンプーは避けます。この時期を注
意すれば、妊娠中でも適度な運動は継続して行って
かまいません。
 妊娠すると、交配後1ヶ月ごろから次のような妊娠
の兆候が現れてきます。
● 乳腺が発達して乳房全体がふくらみ、乳首が硬く
 なる。
● 食事の量や好みが変わる。
● じっとしていることが多い。
● 落ち着きがない。
 これらの症状が見られたら、妊娠のサインと考えて
間違いありません。交配後4週間が過ぎれば超音波
検査が可能になるので、かかりつけの動物病院で妊
娠の検査をしましょう。犬の妊娠期間は交配から数え
て63日(約9週間)が目安です。

    妊娠中の健康管理
 妊娠中の食事はカルシウムやビタミンなどを多めに
与えたり、また、高カロリーの妊娠用ドッグフードに切
り替えるなど妊娠の周期に合わせた内容にします。
散歩はいままでどうりでかまいませんが、犬が辛そう
になってきたら、無理せず外の空気を吸う程度にとど
めておきます。
 体はタオルで拭いたりブラッシングをするなどして、
常に清潔にしておきましょう。シャンプーは一番安定
している5週目ごろに1回行い、あとは控えましょう。
そのときおなかを圧迫しないようにやさしく洗ってあ
げましょう。

    出産準備
 妊娠がかなり後期になると、母犬が盛んに穴を掘
るしぐさをするようになります。これは巣作り行動とい
い、この行動を始めたら出産が近い証拠です。安心
して出産できるように、静かな場所に産箱を置いて
やったり、出産に必要な道具の用意を始めます。
 また、予定日の数日前になったらかかりつけの動
物病院でレントゲン検査など、検診を受けましょう。
胎児の数や大きさ、異常の有無などをあらかじめ確
認しておけば、万一の場合もあわてずに対処ができ
ます。さらに、肛門の周囲や腹部、内股、乳房の周り
の毛をカットしておきます。

    陣痛と出産
 通常38.5℃前後の犬の体温が37℃台に下がり、
さらに呼吸が激しく、ぐるぐる回りだしたら出産ももう
間近。母犬は何回かの軽い陣痛の後、強い陣痛と
ともに第一子を産み落とします。第二子以降は30分
~60分間隔で生まれます。胎児が途中で引っかかり
出てこないときは、ガーゼでそっとくるむ様につかみ、
回す感じで引っ張ります。
 トイプードルは1回に2~3頭出産するのがふつうで、
すべて生み終わるまでに数時間かかります。
 産室の温度は低くても20℃に保つようにし、冬場は
産箱にペットヒーターを入れるなどの対策が必要です。

    異常分娩はすぐに動物病院へ
 第一子は通常、陣痛が始まってから2時間以内で生
まれます。もし2時間以上経っても第一子が生まれな
かったらり、強い陣痛が起こらない、途中まできている
のに自力で生めないなど、異常な事態が起こったら、
応急処置が必要なので、すぐにかかりつけの獣医師に
連絡し、指示に従います。
 また、妊娠の兆候はあるのに65日を過ぎても出産が
始まらない場合は早急に獣医師の診察を受けましょう。
帝王切開など、外科的な処置が必要になるケースもあ
ります。

    子犬が産まれたら
 子犬を出産すると母犬は、産み落とした子犬の羊膜
を舌で破り、へその緒をかみ切り、さらに羊膜や胎盤を
食べてしまいます。そのあと子犬の顔や体をなめ回し
呼吸を促して母乳を与えます。
 こういった出産後の一連の処置は母犬の役目ですが、
なかには出産に無関心で自分で行わないこともありま
す。その場合は飼い主の解除が必要となります。
 また出産時、子犬が呼吸をしていなかったり、仮死状
態で生まれた場合も飼い主の介助が必要です。

    産後の処置と健康管理
 出産がすんだら子犬たちの体重、生まれた時間を忘
れないうちに記録しておきます。そして、母犬のお尻の
周りや被毛を温かいタオルで拭いてあげます。産箱の
中の汚れた新聞紙やシーツを取り替えたら静かに休ま
せます。当日は、むやみに産箱を覗き込んだり、子犬
を抱いたりするのは控えましょう。
 産後しばらく母犬は授乳が続きます。その間は水分
をたっぷり与えます。また体力を消耗しているので、食
事は栄養価の高く、高タンパク質の物を与えるようにし
ましょう。乳腺炎や子宮炎などを起こすことがあるので、
母犬の健康には十分注意が必要です。

幼犬の育て方
 出産後すぐに出る初乳とその後2,3日の間に出る母
乳のなかには、さまざまな病気に対する免疫抗体が多
く含まれているので、子どもにとってはとても大切なも
のです。飼い主は生まれた子犬たちが、全員まんべん
なく母乳を飲んでいるか、注意を払うようにしましょう。
 もし乳房に吸い付けない子犬がいる場合は、飼い主
が母犬に代わって人工哺乳を行います。
 また、生後20日ぐらいまでは、母犬が子どものお尻
をなめ排泄を促しますが、もし母犬が子どもの世話をし
ない場合は、飼い主が代りに行います。やり方は、人
工哺乳のあとガーゼまたは、ティッシュペーパーで軽く
お尻と陰部をたたいて刺激を与えます。排泄がすんだ
らお尻と陰部の周りをきれいに拭き取ります。母犬が
子どもの面倒をよく見ている場合は、手を出さずに見
守りましょう。

    育児室は清潔に
 出産後の母犬はしばらく、おりものが続くので、母
犬がいる育児室は汚れやすくなります。さらに、出産
後は母子ともに細菌感染しやすいので、シーツの取
替えや、汚れたらすぐに掃除をするといったこまめな
ケアが必要です。
 また、育児室の温度は20~25℃が望ましく、冬
場はペットヒーターを入れるなどして温度が下がら
ないようにしましょう。

    避妊と去勢
 飼い主であれば少なからず愛犬の子どもが見た
いと思うものです。しかし犬によっては遺伝的疾患
から繁殖に適さなかったり、また生まれた子どもの
引き取り手の問題や経済的負担など、繁殖を考え
る場合にはリスクと責任が伴うことを忘れてはなり
ません。よく考えたうえで、もし繁殖を望まないの
なら、避妊、去勢手術を受けるべきでしょう。「手術
なんてかわいそう」と考える飼い主もいるようです
が、犬の健康や精神面におけるメリットも多いもの
です。
 メスなら、乳腺腫瘍や子宮畜膿症、子宮・卵巣
腫瘍、鼠径ヘルニアなど出産経験の少ない犬が
かかりやすい病気の予防ができます。また生理
など発情期のわずらわしさもなくなります。
 オスの場合も前立腺の病気、精巣や肛門周辺
の腫瘍、会陰ヘルニアなどの予防になるほか、マ
ーキングが減ったり、攻撃的な性格が抑制され、
穏やかで扱いやすい犬になります。
 このように、両性ともにホルモン系の病気が予防
でき、なによりも性的ストレスから解放されます。
 また、望まない妊娠により生まれた子犬たちを、
処分してしまうという悲劇も防げるのです。
 デメリットとして、繁殖をさせたくなっても不可能に
なることや、肥満になりやすいなどがあります。

    手術の時期と費用
 避妊の手術はいくつになっても受けられますが、あ
まり高齢になると麻酔が負担になるので、できれば
早いうちがいいでしょう。理想としては初めての発情
前の6~7ヶ月頃がいいでしょう。避妊手術も去勢手
術も全身麻酔をかけて行うので、痛みはありません。
開腹手術が必要なメスの場合は、1日~2日入院す
ることになりますが、オスはその日のうちに帰宅でき
ます。費用は地方や動物病院によって違いますが一
般的な目安として、避妊は3万~4万円、去勢は2万
~3万円と考えてください。なお、これらの手術を受け
る場合は、事前に動物病院への申し込みが必要です。

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