犬の感染症の中には命に関わる危険なものも多く、感染
すると治療が難しく死亡する確率が高くなります。また、助
かったにしても重い後遺症に悩むことも少なくありません。
危険な感染症から愛犬を守るには、ワクチン接種と予防薬
の服用が大切です。トイプードルは丈夫な犬種ですが、危
険な病気から守るのは飼い主の責任です。狂犬病以外は
任意ですが、毎年すべて行うようにしたいものです。 なお、
予防接種などを行った日は、念のため激しい運動やシャワ
ーは控えましょう。
予防接種と予防薬
狂犬病予防接種
接種は飼い主の義務。畜犬登録後は市区町村より通知
がくる。自治体の集合会場で受けても、動物病院で受けて
もよい。生後3ヶ月を過ぎたら1回目を接種。ただし、最近
では混合ワクチンを優先するため実際には生後4~5ヶ月
で接種することになる。以後年1回4月に追加接種。初回
は、畜犬登録を含めて6,000~7,000円前後。2年目以降
は3,000~4,000円前後。
混合ワクチン接種
複数の感染症を一度に予防できる3種、5種、7種、8種
、9種混合などのほか、犬パルボウイルス感染症には単
体のワクチンもある。生後50日前後に第1回目、その後
3、4週間後に2回目地域、動物病院によっては3~4回
目まで接種する場合もある。以後1年に1回接種。5,000
~9,000円。7種や8種9種混合はやや高めのこともある。
フィラリア症予防薬
毎年、蚊が発生する5月~11月(地域や気候によって
異なる)に月1回のペースで服用。1回分1,500~2,500
円前後、複数のメーカーのものがあり、犬の体重や動物
病院によって料金は異なる。
ワクチン、予防薬で防げる主な感染症
狂犬病
特徴:意識障害が起こり、中枢神経をおかされ凶暴化
する急性致死性伝染病。一定の潜伏期間があり、発病
後は3、4日でほぼ100%死亡する。人間にも感染し死
亡率は100%。日本では1957年以後発生していない
が、世界的には減少していない。
症状:よだれ、凶暴化、全身麻痺。
感染経路:感染した犬の唾液、かまれた際の傷口からウ
イルスに感染。
予防法:予防接種が義務づけられている。
ジステンパー
特徴:空気感染するウイルス性の病気で致死率が高い。
1歳以下の子犬に発病することが多く、進行すると脳炎
で神経がおかされてしまう。治っても神経症状などの後
遺症が残ってしまう
症状:高熱、激しいせき、下痢、神経症状(チック症状
など)、ケイレン
感染経路:くしゃみなどによる空気感染、鼻水、唾液、
排泄物から経口感染
予防法:混合ワクチン接種
犬伝染性肝炎(犬アデノウイルス2型感染症)
特徴:犬アデノウイルスによるもので肝炎や、肺炎な
どの呼吸器症状が出る。特効薬がないので予防接種
をすること
症状:高熱、肝臓の痛み、嘔吐、下痢、突然死、角膜
の白濁。
感染経路:排泄物をとおして経口、経鼻感染。
予防法:混合ワクチン接種
犬パルボウイルス感染症
特徴:「犬コロリ病」といわれ、非常に感染力の強い病
気で死亡率が高い。特に子犬に発症しやすく、突然死す
る心筋型と、下痢、血便、嘔吐をくり返す腸炎型がある。
症状:激しい下痢、嘔吐、血便
感染経路:排泄物をとおして経口、経鼻感染。ウイルス
は抵抗性が強く、汚染された土壌などに感染力をもった
まま1年以上も生息する。
予防法:混合ワクチン接種、または、単体のワクチン
接種。
レプトスピラ症
特徴:レプトスピラ菌によって腎臓や肝臓がおかされる
人畜共通の感染症。悪化すると尿毒症を発症し死に
至る。
症状:黄疸、嘔吐、下痢、歯茎の出血、脱水症状。
感染経路:ねずみによる媒介、汚染された尿、川水、
下水によって経口、経皮感染。
予防法:混合ワクチン接種
ケンネルコフ
特徴:犬伝染性喉頭気管支炎とも呼ばれ、せきが特
徴の病気。パラインフルエンザウイルスやアデノウイ
ルス、細菌や微生物が合併して起こる病気で、気管
支炎、肺炎のような症状を起こす。子犬や高齢犬が
かかりやすい。
症状:激しいせき、鼻水、発熱、下痢。
感染経路:せきやくしゃみによる経口、経鼻感染。
予防法:混合ワクチン接種
フィラリア症
特徴:ソーメン状の細長いフィラリア(犬糸条虫)が肺
動脈や心臓に寄生して循環障害をおこし、やがて全
身の臓器が不全になり死亡する。感染率は高い。
症状:初期は軽いせき、元気がない、毛のつやが悪
いなど。症状が進むと心不全、腹水など全身症状。
感染経路:蚊を媒介として感染。
予防法:フィラリア症予防薬の内服が一般的。ただし、
すでに感染している犬には重大な副作用が出ること
があるので、必ず投薬前に血液検査を受ける。
人にもうつる犬の病気
犬の病気のなかには、人畜共同感染症といい、人
間にも感染するもがもある。代表的なのが狂犬病で、
ほかにも犬のフンから感染するカンピロバクター、ダ
ニやカビなどが原因となる皮膚疾患ほかいろいろあ
る。予防策としては①予防接種、②ハウスや犬の体
を清潔に保つ、③犬を触ったり排泄物を処理したあ
とにていねいに手洗いする。④人の口の周りを犬に
なめさせないなどが考えられます。
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